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第42回日本思春期学会学術集会
会長 川名 敬
日本大学医学部 産婦人科学系産婦人科学分野 主任教授
このたび、第42回日本思春期学会総会・学術集会を2023年8月25日(金)~27日(日)、シェーンバッハ・サボー(砂防会館:東京都千代田区平河町)にて開催させて頂くことになりました。
日本思春期学会は、産婦人科、小児科、泌尿器科、精神科、公衆衛生をはじめとする多領域の医師、看護職、幼・小・中・高・養護教員、大学・短大・専門学校教員、心理・福祉関係者などの専門家により構成されています。会員数は1800名を超え、長年にわたり、思春期の健康を守り、健全な発達を促すための研究・実践活動を学際的に積み重ねてきております。
ウィズコロナの中、新型コロナウイルスも5類相当に変更され、社会全体が平常状態に戻りつつあります。そのような状況に鑑み、満を持して、第42回総会・学術集会は、現地での対面開催を基本とし、オンデマンド配信も後日行うという2本立てで開催させていただきたいと考えております。
第42回学術集会のテーマは「思春期学の進歩と将来を語ろう!」といたしました。
現代社会における若者たちの文化が変容してきました。特にネット社会になり、ほとんどの思春期世代がスマホを持つ時代となったことになりました。その中で、若者たちはバーチャルリアリティーに入りこみ、時間的、空間的に飛び越えた交わりを持つようになってきました。コロナ禍での人流制限によって、益々社会全体が対面社会から仮想社会に変化する中、若者は人との交流をネットベースの交流に求めるようになってきました。コロナ禍によって社会は大きく変化し、思春期世代の生き方も新しい時代に入ってきたと言っても過言ではありません。
大人社会は、若者文化の変貌に追いついていないため、多くの課題が出てきました。全国で24万人と言われる不登校の子供たち、性感染症や予期せぬ妊娠、マッチングアプリ、SNSによる情報の氾濫など、思春期世代が直面する社会問題が山積しています。また、生活様式の変化に伴う器質的疾患、メンタルの不調、スマホ、アプリなどの新技術に伴う新たな社会問題に対峙する時期、それらを予防する時期も思春期世代から始まっています。これらの現代社会の急激な変貌から、子供たちを守るために思春期学を科学的に真剣に語り合いたいと思い、このテーマを選びました。
現在、プログラムの充実に向けて鋭利努力を続けております。特別講演では、「不良長寿のすすめ」の著者で免疫学者の奥村 康先生と、「ぴえんという病:SNS時代の消費と承認」の著者で現役大学生のライターの佐々木チワワさんをお招きしてご講演いただきます。また教育講演、会長企画、多くのシンポジウム、ワークショップ、一般演題をご用意しております。医学生の学生さん達にもご登壇いただき、若者の生の声をお聴きする企画も考えております。
医学領域の講演を充実させると同時に、学会員が研究のみならず実践についての演題発表をしやすくなるよう検討しております。学会員はじめ参加者のみなさまのご期待に応えられる学術集会にし、思春期学への発展へとつなげていく所存です。
みなさまからの多くの演題応募およびご参加をお待ち申し上げております。