ご挨拶
このたび、第44回日本思春期学会総会・学術集会を2025年8月30日(土)~31日(日)、アートホテル旭川(北海道旭川市)にて開催させて頂くことになりました。
日本思春期学会は、産婦人科、小児科、泌尿器科、精神科、公衆衛生をはじめとする多領域の医師、看護職、幼・小・中・高・養護教員、大学・短大・専門学校教員、心理・福祉関係者などの専門家により構成されています。会員数は1800名を超え、長年にわたり、思春期の健康を守り、健全な発達を促すための研究・実践活動を学際的に積み重ねてきております。
第44回学術集会のテーマは「思春期の性教育とリプロダクティブ・ヘルス:デジタル世代の挑戦と機会」といたしました。思春期の性教育とリプロダクティブ・ヘルスを中心に話し合い、また、SNSなどの思春期への影響も討議していきたいと考えております。
日本では、思春期のスマートフォン保有率は非常に高く、2024年の調査によると、15歳から19歳の若者のおよそ97%がスマートフォンを所有と報告されており、2010年の約4%から大幅に増加しています。現在は、スマートフォンは、コミュニケーション、情報収集、エンターテインメントなど、多岐にわたる用途で利用されている一方、いくつかの問題も指摘されています。特に、SNSが若者の心と身体に与える影響は深刻で、いじめ、誹謗中傷、自己肯定感の低下、プライバシーの侵害、性被害も存在します。対策と支援としては、学校や家庭でのSNS利用に関する教育が重要と考えられ、リスクを理解し、安全な利用方法を学ぶことが必要になります。また、相談窓口やカウンセリングサービスを利用することで、問題が発生した際に適切なサポート体制の構築も重要です。これらの対策を通じて、思春期の若者がSNSを安全に利用できるようにすることが求められています。
そこで本学会では、若者たちが直面しているSNS含めた課題に対し、若者のもつ力を信じ、体や心、性の健康に対して支援することを中心に、思春期を学問として真剣に語り合いたいと思っております。
現在、プログラムの充実に向けて鋭利努力を続けております。医学領域の講演を充実させると同時に、学会員が研究のみならず実践についての演題発表をしやすくなるよう検討しております。学会員はじめ参加者のみなさまのご期待に応えられる学術集会にし、思春期学への発展へとつなげていく所存です。
皆様からの多くの演題応募およびご参加をお待ちしております。
第44回日本思春期学会総会・学術集会
会長 加藤 育民
旭川医科大学 産婦人科学講座 教授