会長挨拶
第56回日本膵臓学会大会
会長 糸井 隆夫
(東京医科大学消化器内科学分野 主任教授)
第56回日本膵臓学会大会を2025年7月25日(金)、26日(土)、東京赤坂のホテルニューオータニ東京を会場に開催致します。東京医科大学消化器内科学分野(旧内科学第4講座)が日本膵臓学会大会をお世話させていただくのは開講以来始めてのことであり、同門ならびに教室員一同、大変光栄に存じております。このような機会を賜りましたすべての会員の先生方に心より御礼申し上げます。酷暑下での大会開催が予想されますが、涼しいホテル内の会場での熱いディスカッションを期待しております。
本大会のテーマは私の大好きな言葉である「伝統と革新」としました。英語で言い換えれば”Tradition and Innovation”です。「伝統と革新」、”Tradition and Innovation”はそれぞれ別なもの、あるいは「温故知新」のようなイメージで捉えられがちですが、そうではなく、”不易流行”、すなわち、伝統は革新の連続である、という真の意味があります。さらにこの“革新”も単に新しいことをする、いわゆる“創造性”、“Creativity”と似て非なるものがあります。Globalizationという言葉を創った元ハーバード・ビジネススクール名誉教授のTheodore Levittは”Creativity is thinking up new things. Innovation is doing new things.”、すなわち “創造性” とは、新しい何かを考え、まとめること。“革新” とは、その新しい何かを遂行することである、と述べています。革新とは、膵臓病学の世界では新しい概念や診断治療法を確立して後世に残るようなものとすること、あるいは新しい技術や道具を創出して日本あるいは世界で普及させることであります。本大会が「伝統と革新」、”Tradition and Innovation”の礎になることを期待したいと思います。
そこで、第56回の本大会では、膵臓病学に関する領域横断的な興味ある最新情報や知識を共有できるように、最新の膵疾患の現状と展望について、基礎から臨床応用、外科と内科の接点ならびに内視鏡インターベンションの進歩などに焦点をあてた主題、特別企画や国際企画など膵疾患診療に携わる多くの方々が積極的に参加したくなるようなプログラムを作成いたしました。まず、本大会が新理事長として始めての大会となる正宗 淳先生に理事長講演をお願いしております。特別講演としまして、基礎部門では私の基礎研究のMentorである、新潟大学名誉教授の渡辺英伸先生に膵臓病理について、そして臨床部門では近年注目されている、がん光免疫療法開発者の米国国立衛生研究所(NIH)の小林久隆先生に膵癌とがん光免疫療法の今後の可能性についてお話しいただきます。また、招聘講演には私の超音波内視鏡のMentorであるAdvent Health Medical Group and University of Central Florida College of MedicineのRobert Hawes先生にInterventional EUSの現状と将来について解説していただきます。そのほか、外科的・内視鏡的手技をビデオで競い合う、ユニークなPancreas Cup of Surgery・Endoscopy等の本学会では初めてのセッションも多数企画しております。多くの先生方のご参加と、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。