ご挨拶
第43回 The Mt. Fuji Workshop on CVD
大宅宗一
群馬大学大学院医学系研究科脳神経外科学教授
このたび、第43回 Mt. Fuji Workshop on CVD の開催を担当いたします群馬大学脳神経外科の大宅宗一です。本ワークショップは、脳卒中に関わる外科医と内科医が年に一度テーマを決めて議論を深めるという、43年もの伝統と最新の知見に基づく革新を兼ね備えた貴重な場となっています。その歴史ある本会を主催できますことを、大変光栄に存じます。
無症候性脳血管病変へ手術まで含めて治療介入を検討することは、「突然発症し、治療が困難で時に致死的となる」脳卒中の特性に基づいて行われていますが、これは全身の他の疾患では比較的稀なアプローチであると思います。一方で、日本は脳卒中発症率が非常に高かったという歴史もあり、脳ドックが発展してまいりました。これからの健康寿命延伸の時代においては、予防や未病という観点がきわめて重要であり、多くのデータを有する日本がリーダーシップを発揮することが期待されています。
無症候性脳血管病変に対する内科的アプローチでは、従来のリスク評価に加え、分子遺伝学的リスクや腸内細菌の研究など新たな視点が注目されています。一方、外科的アプローチでは、①病変の自然歴の正確な理解、②発症リスクの適切な評価、③治療合併症の最小化、という視点が重要です。そして新たな画像診断法や治療法がon goingで生まれています。ガイドラインとリアルワールドの間に生じるギャップを乗り越えつつ、新たな知見と技術を融合させていくことが求められています。
本ワークショップでは、動脈瘤、動静脈奇形、頚動脈狭窄症、もやもや病を主なテーマとして、内科と外科の密接な連携という本会の特長である伝統を活かして、無症候性病変の現状と未来の課題について議論を深めます。新たな発見と知見の共有が、脳卒中診療の未来を切り拓く契機となることを願っております。
皆様の積極的なご参加を心よりお待ち申し上げます。