東京医科大学 臨床医学系
消化器内科学分野
事務局長:殿塚 亮祐、杉本 勝俊
順天堂大学医学部 消化器内科
事務局長:上田 久美子
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座長のことば
近年、肝細胞がんでは患者の高齢化と成因の変化(ウイルス性肝炎の減少と代謝機能障害関連脂肪肝炎; MASHの増加)がみられている。また、治療方針は免疫チェックポイント阻害薬の登場により大きく変化するとともに、8つの化学療法の治療lineが使用可能になった。ラジオ波焼灼などの局所治療、TACEではなるべく肝予備能の低下を回避し、がん免疫療法(IO)、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)、血管新生阻害薬(VEGF阻害薬)との併用等を駆使して、肝がんの病勢をコントロールできるかが求められている。とりわけ高齢者において、治療法の進歩にともなう恩恵は大きい。ADLを保ちながら、高齢者に求められる、生命予後を改善する肝がん治療は何か。一方で、irAEを含めた高齢者の有害事象をどのように回避するか、どのように治療継続するか、対策が必要である。そのためにはがん患者に対する栄養管理も欠かせない。高齢者における肝がん治療について、臨床情報を整理し、診療に役立てられるセッションになれば幸いである。
座長のことば
一般に、潰瘍性大腸炎やクローン病に代表される炎症性腸疾患(IBD)は、若年者に多い疾患とされてきた。しかしながら、近年、高齢発症の新規IBD患者が増えていることや、若年発症したIBD患者の高齢化が新たな問題となっている。その理由として、①IBDの寛解導入・維持治療では、免疫制御に関する薬剤が多く、高齢者の感染症リスクを考慮した場合、選択できる薬剤が限られる。②IBD内科治療の進歩により手術を回避する症例は増えたが、一方で慢性炎症が寄与する大腸癌発症のリスク上昇が示唆されている。③高齢者では、小腸・大腸以外に癌を併存する症例が存在し、IBD治療が制限されること、等が挙げられる。そこで、本パネルディスカッションでは、これらの課題に対して、高齢IBD患者に対する治療の考え方や選択方法、治療成績、合併症対策、炎症性発癌に対する内視鏡スクリーニングおよび治療法、など多岐にわたる演題発表を期待したい。
座長のことば
近年、日本を含めて世界的に脂肪性肝疾患 (SLD)の病名と分類法が変更された。代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)、代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)、アルコール関連肝疾患(ALD)、代謝機能障害アルコール関連肝疾患(MetALD)、成因不明脂肪性肝疾患、および特定成因脂肪性肝疾患がそれぞれ比較的明確に分類された。しかし、高齢者におけるこれら病名と分類法の意義は不明な点が多い。脂肪性肝疾患における飲酒の影響、食事やGut Microbiota、胆汁酸代謝、肥満や代謝性疾患や遺伝子変異そして年齢や性別の影響と課題は多い。高齢者における痩せ型脂肪性肝疾患(Lean NAFLD)など解決すべきテーマは山積されている。欧米では新薬も報告されている。本セッションでは高齢者における脂肪性肝疾患の成因、診断法、治療法および予後等について基礎的および臨床的な演題を幅広く募集し議論したい。本邦の高齢者脂肪性肝疾患の特徴を明らかにし、その診療に関する最新知見を発表していただきたいと考えている。
座長のことば
近年の消化器内視鏡の進歩は目覚ましく、低侵襲で有効性の高い診断・治療が次々と開発されている。一方で高齢者に対する内視鏡診療の適応、安全性、有益性などは十分に議論されていない。内視鏡診療における高齢者特有の問題点として、身体機能の低下、併存症の存在、抗血栓薬内服等による偶発症リスクの増加が挙げられる。また、鎮静を行う場合では過鎮静による呼吸循環動態の変化やせん妄などのリスクの増加が懸念される。さらには認知機能の低下による病状・診療内容の理解不足や意思決定の困難さがあり、それらに伴ってインフォームドコンセントの取得の困難性や服薬や安静の指示を守れないなどの問題が生じうる。また予後が限定される高齢者においては、非高齢者以上にリスクとベネフィットを考慮した上での適応の判断が重要となる。本セッションでは消化管から肝胆膵まで全ての領域において、各施設での高齢者機能評価や多職種連携による介入、家族支援などの取り組みや、高齢者と非高齢者における内視鏡診療の成績の比較などを発表いただき、高齢者における内視鏡診療の現状と課題に関して議論したい。多数の応募を期待している。
座長のことば
合同シンポジウムとして、年齢差および性差に焦点を当てた機能性消化管疾患(FGIDs)のセッションを開催する。本シンポジウムでは、これらの要因がFGIDsに与える影響について、多角的な視点から議論を深めることを目指す。機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群が多く研究される一方で、機能性胆嚢・オッディ括約筋疾患をはじめ、十分に認知されていないFGIDsも多く存在する。さまざまなFGIDsへの理解をさらに深めるため、多岐にわたるFGIDsに関する応募を期待する。
座長のことば
近年の若手医師は、日々の外来診療や病棟業務といった患者対応に加え、私事では家庭との両立や親の介護といった課題も抱えるようになっている。そのような多忙な生活の中で研究活動を続けるのは容易ではない。また、世間では各社が競って人工知能(artificial intelligence, AI)の機能強化を進めている。その結果、患者が容易に医療知識を得られるようになった一方で、医療現場ではそのような患者への対応に苦慮する事例も出てきている。また、AIが知らないうちに論文を捏造してしまうといった問題も発生している。
このように医療をとりまく環境が激しく変化している中で、次世代の医療を中心的に担う若手医師が、研究活動に力を入れ、学会発表を行う意義はどこにあるのか。言うまでもなく若手医師が学会発表に向けて準備を進める過程は、医学知識を深めるだけでなく考察力や情報を要約する力を養う非常に貴重な経験となる。この経験は激変する医療環境を見極め、医師としてのキャリアを築き上げていく上で、かけがいのない財産になると考える。
本セッションの対象は医学部卒業後10年以内の医師、特に初期研修医、後期研修医、専門医の先生方である。若手医師を対象としており、性差にとらわれず、症例報告、臨床研究、基礎研究、教育など幅広い分野(それこそ消化器病学AIを含む)の演題にぜひ挑戦していただきたい。
座長のことば
様々な疾患で性差による罹患率・症状・治療効果・予後などに違いが認められるものがあり消化管疾患も例外ではない。悪性腫瘍では食道癌、胃癌は男性の罹患率が女性よりも明らかに高い。上部機能性消化管疾患では、逆流性食道炎は男性に多く,非びらん性胃食道逆流症は女性に多い。下部機能性消化管疾患では、下痢型過敏性腸症候群は男性に多く、便秘型および感染性腸炎後過敏性腸症候群は女性に多い。慢性便秘症は若年者では女性に多い。IBDは男性に多いがUCでその傾向は顕著であり治療反応性も異なる。アレルギー性消化器疾患代表の好酸球性食道炎は男性に多い。性差が生じる原因は,性ホルモンや遺伝的要因の違い,飲酒喫煙などの生活習慣・生活環境のリスク因子が複雑に関与していると想定されているものの病態は明らかではない。性差を考慮した消化管疾患の予防、診断、治療法の確立は重要な課題である.本セッションでは、性差に注目した様々な消化管疾患に関する演題を募集する。疫学・病態・予後・治療など多方面からの発表・議論を通し、現状についての理解を深めるとともに新たな知見を取り纏めていきたい。皆様の積極的な演題の参加と白熱した議論を期待する。
座長のことば
近年steatotic liver disease(SLD)の分類が変わり、飲酒量とCardiometabolic criteriaの有無によりMASLD、Met ALD、ALDに分類されるようになってきた。以前からMASLDに対しては男性では30〜60歳台、女性では50歳以降の閉経後に多く、閉経は進展にも関与していることが分かっている。一方Met ALD、ALDにおいても性差があり、ALDに関しても男女で診断基準に飲酒量の違いがあり、男女差で病態に差があることが推測される。また、慢性膵炎では成因の最多がアルコール性で男性に多くCLDN2遺伝子接合性の差異によると推定される。本邦提唱のIgG4関連疾患:1型自己免疫性膵炎(AIP Type 1)は2000年には性差が2:1ほどであったが2021年には3.2:1と男女差が著明になっている。膵癌は罹患・死亡数共に増え2021年死亡数は男女が逆転し女性(19000人・3位)>男性(18600人・4位)となっている。胆石症は部位別で胆嚢が減り総胆管・肝内胆管が増え2013年〜胆嚢、肝内結石の男女比が各々1:0.90、1:0.83と男女比が逆転した。疫学の変化は遺伝的要因、生活習慣、感染症によるのか推測は様々。新知見も含め多くの研究や取り組みに期待する。