ごあいさつ
このたび、第47回日本高血圧学会総会を、2025年10月17日(金)、18日(土)、19日(日)に東京都中央区日本橋兜町のカブトワン他を会場として現地および一部オンデマンド配信で開催いたします。テーマは「挑戦の継続が伝統を創り出す―Sustainable challenges create tradition―」とし、日本高血圧学会が患者、医療従事者、企業・団体、国と連携しながら新しい取り組みにチャレンジし創り上げてきた歴史と伝統を披露すると共に未来に向けて発信する場としたいと考えています。
高血圧の歴史を紐解きますと、1720年にSteven Hales牧師が麻酔した馬の左頸動脈で初めて血圧を測定し、血圧の概念が生まれました。その後1896年にイタリア人医師が世界初の血圧計を発明し人間での血圧測定が可能になると、1935-54年に実施された米国の生命保険会社の調査によって高血圧が余命に影響することが明らかとなり1950年代に降圧薬が登場し、その後、多くの降圧薬が開発されてきました。日本では、1978年に日本高血圧学会が発足し、1993年にHypertension Research誌が創刊され、2000年に我が国最初の高血圧治療ガイドラインが発表されました。私達が現在恩恵を享受している「高血圧の診断と治療」は、このような先人達の継続した努力の成果であることを忘れてはなりません。そして振り返り前を向くと、私達が未来の人々のために何ができるかを考えないではいられません。
現在あるいは近未来の高血圧診療の課題として、ウエアラブル血圧計、高血圧治療アプリ、高血圧遠隔診療、腎デナーベーション治療、高血圧ワクチン治療、斬新な新規降圧薬等があります。“不易流行”という言葉に象徴される―伝統を踏まえつつ新しいものを取り入れていく―精神は、それら課題を更に発展させ普及させていくために大きな推進力となります。そして本総会の会場となるお江戸日本橋こそ、“不易流行”を具現化し東京へと発展を遂げた都市であると言えます。この地で開催することの意義を感じながら、参加者各位が挑戦を続けることによって新たな高血圧診療の伝統を創り上げていく、その発祥となる日本高血圧学会総会としたいと思います。
また、2025年は日本高血圧学会の新しい高血圧治療ガイドライン2025が発表される年でもあります。国内外から多くの注目と関心が集まることが予想され、多数の現地参加者やオンデマンド配信視聴者が期待されています。
皆様からの多数の演題のご応募、ご参加をお待ちしております。